「ウィンザー効果」とは?「本人の言葉より、人づてのほうが刺さる」日常心理

  • 自分で「このお店いいよ」と言っても、あまり響いてなさそうなのに
    後日、友だちの友だちが同じ店を褒めていて、一気に行きたくなる。
  • 上司から直接「よくやったね」と言われるより、
    同僚から「部長が『あいつ最近がんばってる』って言ってたよ」と聞いたほうが嬉しい。
  • 自分で「私は性格いいです」と言う人は信用しづらいけれど、
    他人から「あの人ほんと気が利くよ」と聞くと、一気に印象が上がる。

こんなふうに、

「本人が言うより、第三者の口を通った言葉のほうが信じてしまう」

という現象には、ちゃんと名前がついています。

それが 「ウィンザー効果」 です。

この記事では、

  • 「ウィンザー効果」とは何か
  • 日常でどんな場面に出てくるのか
  • 口コミや評価に関する調査・研究
  • なぜ本人の言葉より“人づて”を信じてしまうのか
  • 日常でのデメリットとうまい付き合い方

を、できるだけ日常寄りの具体例で整理していきます。

身近な具体例とエビデンスのポイントでコンパクトに整理します。

目次

「ウィンザー効果」とは?

「ウィンザー効果」とは、

ある事柄について、当事者本人が直接発信する情報よりも、
第三者から伝わる情報のほうが信頼されやすいという心理効果

を指します。

  • 企業の宣伝より、「実際に使った人の口コミ」
  • 自分の自己アピールより、「他人から聞くその人の評判」

といった “人づて情報”のほうが、客観的・本音っぽく見えてしまう のがポイントです。

由来としては、作家アーリーン・ロマノネスの小説『伯爵夫人はスパイ』に登場するウィンザー伯爵夫人の

「第三者の褒め言葉が何よりも効果的よ」

というセリフから名付けられた、とよく紹介されています。

マーケティングの世界では、

  • 口コミサイト
  • レビュー
  • 「お客様の声」

などの形で、「ウィンザー効果」を狙った施策 が当たり前に使われています。

日常での「ウィンザー効果」あるある(3本)

1. 直接の褒め言葉より、「人づてのほめ」が刺さる

  • 上司に直接「よくやってるよ」と言われると、
    「社交辞令かな」と思ってしまう。
  • でも、同僚から 「この前の会議のあと、部長が『あの資料よかったな』って言ってたよ」 と聞くと、一気に嬉しさが倍増する。

これは、

当事者の言葉(上司本人)より、第三者ルートの評価のほうを信じやすい

という「ウィンザー効果」の典型です。

本人の前では“建前”かもしれないけれど、
背後で出てきた評価は「本音っぽく」感じてしまうわけです。


2. お店選びで、公式サイトより口コミを信じてしまう

  • 新しくランチに行く店を探すとき、
    公式サイトの「当店のこだわり」より、
    食べログやGoogleマップのレビューを見る。
  • 「星3.3だけど、コメントで“量が多めでコスパ良い”って書いてあるから行ってみるか」
    など、知らない人の口コミを信頼して決める

これも、

企業自身の発信より、利害関係が薄そうな第三者の声を信用する

という、「ウィンザー効果」の日常版です。


3. 恋愛でも、「本人のアピール」より「友だち経由の評判」が効く

  • 本人が「俺、けっこう一途な方だから」と言っても、
    「はいはい」と話半分で聞いてしまう。
  • しかし、友だちから 「あいつ、元カノと別れるときもめちゃくちゃ誠実だったよ」 と“第三者レビュー”が入ると、信頼度が一気に上がる。

恋愛でも、

「自分で“いい人です”と言う人」より、
「周りから“あいつはいいやつだよ”と言われている人」

のほうが信用しやすいのは、まさに「ウィンザー効果」です。

調査・研究で見る「ウィンザー効果」

1. 広告より「人の口コミ」を信じるという大量の調査

マーケティングの世界では、

「口コミや友人・家族からのすすめは、広告よりはるかに信頼される」

という結果が、世界中の調査で繰り返し報告されています。

例として:

  • ニールセンのグローバル調査では、
    「友人や家族からのすすめ」を、他のどの広告よりも信頼すると答えた人が9割近くにのぼったという結果が報告されています。

こうしたデータは、
「第三者からの情報は信頼されやすい」というウィンザー効果が、消費者行動の現場でかなり強く働いていることを示しています。


2. 日本でも、「友人・家族の情報」はトップクラスに信頼されている

日本のアンケートでも、

  • 信頼できる情報源の1位が「友人・知人・家族」、
  • 「企業・法人からの情報」はその下の順位

といった結果が報告されています。

また、

  • 「行動を起こすきっかけ」としても
    「友人・家族のすすめ」や「ネットの口コミ」が上位に来る

というデータがあり、
人づての情報が、実際の“行動”にも強く影響していることが分かります。


3. ビジネスだけでなく、職場・採用・人間関係でも活用されている

採用・人事の世界でも、

  • 社員からの紹介(リファラル)
  • 利用者アンケートの掲載
  • 「第三者による推薦コメント」

など、第三者の声を前面に出す仕組みがよく使われています。

これは単にテクニックというより、

「人は、本人の自己PRより、第三者の言葉をよく信じる」

という「ウィンザー効果」が、
それだけ強固だという裏返しでもあります。

なぜ「ウィンザー効果」が起こるのか(原因・仕組み)

1. 本人の言葉には「利害」が見えやすいから

当事者が自分のこと・自分の商品を語るとき、
聞き手はどうしても、

「自分に都合のいいことだけ言ってるかも」

と疑いの目で見がちです。

  • 企業 → 「これは素晴らしい商品です」と言っても「宣伝でしょ?」
  • 自分 → 「私、性格いいですよ」と言っても「それは自分で言うやつじゃない」

と、自己PRには“盛ってる疑惑”が自動でついてくるわけです。


2. 第三者は「利害が薄そうで、本音っぽく見える」から

一方で、

  • 実際に使った人のレビュー
  • 利害関係のなさそうな友だちのコメント
  • SNSでたまたま見かけた体験談

などは、

「この人には得も損もないし、嘘をつく理由がなさそう」

と感じられやすく、“本音っぽさ”が高く見積もられます

その結果、
内容が同じでも、「誰の口から出たか」で信頼度が変わるのです。


3. 「みんなもそう思っているらしい」が安心感になる

口コミがたくさん集まっているとき、人は

「自分だけじゃなく、他の人もそう感じているなら、きっと間違いない」

と安心します。

これは 「社会的証明(ソーシャルプルーフ)」 と呼ばれる心理とも関係していて、
ウィンザー効果とセットで語られることが多いです。

  • 星の数・レビュー件数
  • 「利用者の◯%が満足」などのアンケート結果

は、その象徴的な例です。

「ウィンザー効果」のデメリット(日常でありがちな落とし穴)

1. 口コミを信じすぎて、自分で確かめなくなる

  • レビューが良ければ、ほぼ中身を読まずに購入
  • 「友だちがいいって言ってたから」で、自分の好みをあまり考えない

こうなると、

「人の評価に乗っかるだけで、自分で判断する練習が減っていく」

という問題が出てきます。


2. ステルスマーケティングに引っかかりやすくなる

ウィンザー効果が強いことを逆手に取ったのが、

ステルスマーケティング(ステマ)

です。

本当は企業からお金をもらって宣伝しているのに、
あたかも「ただのユーザーの本音」であるかのように装うパターン。

消費者庁も、ステマが「ウィンザー効果」や「バンドワゴン効果(みんな買っているから安心)」を悪用していると指摘しています。


3. “陰口・噂話”も信じやすくなる

ポジティブな評価だけでなく、ネガティブな噂にもウィンザー効果は働きます。

  • 本人から聞けば誤解だと分かる話でも、
    「あの人がこう言ってたよ」と人づてに聞くと信じてしまう。
  • 一度ネガティブな評判が広まると、
    本人がいくら否定しても「言い訳」に見えてしまう。

とくに日本では、口コミや他人の目を重視する文化もあり、
「第三者の悪口」ほどダメージが大きくなりがちです。

「ウィンザー効果」とうまく付き合うコツ(日常編)

1. 情報を受け取る側:

「第三者だから正しい」とは限らないと決めておく

まず大事なのは、

「第三者の言葉=正しい」ではない

という前提を、頭の片隅に置いておくことです。

  • 口コミの数・内容
  • 言っている人の立場(利害・専門性)
  • 「その人にとっての合う/合わない」が、自分にも当てはまるか

を一度立ち止まって考えるだけでも、
ウィンザー効果に振り回されにくくなります。


2. 情報を発信する側:

自分で言うより「第三者の声」を活かす

自分や自分の活動を信用してもらいたいときは、

  • 自分で「すごいでしょ」と言うより、
  • 「体験談」「推薦コメント」「具体的な事例」 を第三者に書いてもらう

ほうが、ウィンザー効果的には強いです。

日常レベルなら、

  • 上司に「直接部下を褒める」に加えて、
    同僚経由で良い評判を伝える
  • 友達の長所を、その友達のいないところでちゃんと褒めておく

なども立派なウィンザー効果の活用です。


3. 噂話を聞いたときは、「本人の話」も必ず一回は聞いてみる

ネガティブな話を人づてに聞いたときこそ、

「本人はどう言うだろう?」

と一回は考えてみる習慣が大事です。

  • 可能なら、本人にも穏やかに確認してみる
  • 少なくとも、「人づて情報=真実」とは即決しない

これだけでも、
ウィンザー効果に乗った“悪い噂”の被害を減らせます。


4. 自分の評価を上げたいときは、「目の前の一人」に丁寧に接する

ウィンザー効果は、自分で直接コントロールできない部分でもあります。

だからこそ、

目の前の一人に丁寧に接する →
その人がどこかで自分の話をしてくれるかもしれない

という “地味だけど堅実なルート” を大事にするのが現実的です。

まとめ:「同じ内容でも、“誰の口から出たか”で重さが変わる」

  • 「ウィンザー効果」とは、
    当事者本人の言葉より、第三者の口を通った情報のほうが信頼されやすい心理効果
  • 由来は、小説の登場人物が語った
    「第三者の褒め言葉が一番効く」というセリフにあるとされる。
  • 広告より口コミ、自己PRより第三者の評判が信じられやすいことは、
    各種調査やマーケティングの現場でも繰り返し確認されている。
  • 一方で、
    • 口コミを過信して自分で考えなくなる
    • ステマや噂話に乗せられる
      といったデメリットもある。
  • 付き合い方のポイントは、
    • 「第三者だから正しい」と思い込みすぎない
    • 自分の評価を上げたいときは、第三者の声をうまく使う
    • ネガティブな話ほど、本人の話も一度は聞いてみる

というあたりです。

同じ「いいね」でも、
本人の口から出るのか、
友だちの口から出るのかで、
心に刺さる深さはまったく違う。

この仕組みを知っておくと、
自分が「何を信じているのか」が少しクリアに見えるようになります。

Q&A:「ウィンザー効果」についてのよくある質問

Q1. 「ウィンザー効果」と「社会的証明(みんなが良いと言っている)」はどう違いますか?

A. ざっくり言うと、焦点が少し違います。

  • 「ウィンザー効果」
    「本人 vs 第三者」の違い に注目する考え方。
  • 「社会的証明」
    「どれだけ多くの人がそう言っているか」 に注目する考え方。

口コミサイトは、だいたいこの2つがセットで効いています。


Q2. 第三者から褒めてもらうように仕向けるのは、あざとすぎますか?

A. 露骨にやるとあざとく見えますが、

  • 一緒に仕事した人に「実績掲載してもいい?」とお願いする
  • サービス利用者の声を、きちんと許可を取って載せる

といった 誠実な形での第三者の声の活用 は、ビジネスでも普通に行われています。

相手にとってもメリットがある形(紹介・お礼・相互PRなど)にできると、健全な範囲に収まりやすいです。


Q3. 口コミはどれくらい疑って見たほうがいいですか?

A. 「全部信じる」か「全部疑うか」の二択ではなく、

  • 具体的な体験が書いてあるか
  • 極端に褒めちぎっていないか
  • ネガティブな点も少し触れているか
  • 投稿数や時期に不自然さはないか

といった チェックポイントをいくつか持っておく のがおすすめです。

「一人の口コミで決めない」「全体の傾向を見る」くらいの距離感だと、ウィンザー効果をほどよく活用できます。


Q4. 自分の悪い噂が“ウィンザー効果”で広がってしまったとき、どうすればいいですか?

A. 正直、簡単ではありませんが、

  1. 信頼できる少数の相手に、事実と自分の考えを丁寧に伝える
  2. その人たちとの関係を大事にしていく
  3. 時間をかけて、行動で「実物」を見せていく

という地道なやり方が、長期的には一番効きます。

すべての噂を完全に止めるのは難しいので、

「どこかでちゃんと見てくれている人がいればそれでいい」

くらいのラインを自分の中に作っておくのも大切です。

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