シャーデンフロイデとは?他人の不幸が“ちょっと嬉しい”と感じてしまう心理

  • 嫌いなインフルエンサーが炎上して「ざまあ…」と思ってしまう
  • クラスでイキってた人が先生に怒られて、心の中だけで拍手してしまう
  • 有名人の不倫スキャンダル記事を、つい何本もハシゴして読んでしまう

そんなとき、どこかで

「性格悪いかな…」

とモヤっとしつつも、ちょっとスッとした感覚があるかもしれません。

この、
**「他人の不幸を見て、少し嬉しくなる感情」**を
心理学ではドイツ語を借りて「シャーデンフロイデ(Schadenfreude)」と呼びます。ウィキペディア+1

この記事では、特に日常生活とSNSでの場面に絞って、

  • シャーデンフロイデとは何か
  • どんなときに出やすいのか(あるある)
  • 研究で分かっている原因・仕組み
  • SNS時代ならではのデメリット
  • 心が荒れすぎない付き合い方

を整理していきます。

目次

「シャーデンフロイデ」とは?

**シャーデンフロイデ(Schadenfreude)**は、

他人の失敗・不幸・恥・ダメージを見たり聞いたりしたときに、
ひそかに快感やスッキリ感を覚える感情

を指します。ウィキペディア+1

ドイツ語の

  • Schaden(害・ダメージ)
  • Freude(喜び)

をくっつけた言葉で、英語にもそのまま「schadenfreude」として入っています。ウィキペディア+1

心理学の研究では、

  • 攻撃・敵意(嫌いな相手が痛い目を見ると気持ちいい)
  • ライバル関係(競争相手がコケると自分が相対的に上がる)
  • 正義・公正感(「悪いことをしていた人」が罰を受けてスカッとする)

といった動機が組み合わさって起きる感情だと考えられています。ウィキペディア+2PMC+2

ポイントは、

  • 「人の不幸を喜ぶなんて最低!」と切り捨てるより、
  • 誰の中にもある“暗めの普通の感情”として理解しつつ、扱い方を工夫する

ほうが現実的、というところです。

日常&SNSでのシャーデンフロイデあるある

1. 炎上している人を見ると、タイムラインから目が離せない

  • 有名人の不倫
  • インフルエンサーのやらかし
  • 企業アカウントの炎上

ニュース記事やまとめツイートを見て、

「普段あんなに偉そうにしてたしな…」
「ちょっとスカッとするわ」

と感じつつ、
関連記事や引用ポストを読み漁ってしまうことがあります。

研究でも、SNS上では「相手が悪いことをした」「罰を受けて当然だ」と感じるほど、
シャーデンフロイデや“ざまあ感”が強まり、それがオンラインでの非難や晒し(オンライン・シェイミング)につながりやすいことが示されています。Frontiers+2ScienceDirect+2

2. クラス・職場の“苦手な人”が怒られているとき

  • いつも人にきつく当たる先輩が、上司から注意されている
  • 教室でマウントを取りがちな同級生が、先生にガツンと言われる

その瞬間、表情は真顔で聞きつつも、
心の中では

「よく言った先生」
「ちょっとスカッとするな」

という小さなガッツポーズが出ることがあります。

これは、
「攻撃されてきた側」「見下されてきた側」の気持ちが、少しだけ報われた感覚だと考えられます。PMC+1

3. ゲーム・スポーツでライバルがミスしたとき

  • 対戦ゲームでいつも勝っていた友だちが、今日は珍しく連敗している
  • ライバル校が試合で大きなミスをして敗退した

そのとき感じる

「うわ〜、やった!」

という喜びには、自分の勝利の喜びと同時に、
相手の失敗に対するシャーデンフロイデ成分も混ざっています。ウィキペディア+2PMC+2

スポーツファンを対象とした研究でも、
ライバルチームが失敗したとき、快感に関わる脳の部位(側坐核など)が活動することが報告されています。ウィキペディア+1

実験で見るシャーデンフロイデ

1. 脳の中では何が起きている?

脳画像研究では、
嫉妬(うらやましさ)とシャーデンフロイデがセットで調べられることが多いです。

ある研究では、
他人の成功・失敗のストーリーを見ているときの脳活動を調べたところ、PubMed+1

  • 嫉妬を感じるとき:
    → 苦痛・不快感に関連する領域が活性化
  • その人が失敗したとき:
    → 快感に関わる領域(報酬系)が活動し、「ざまあ的な喜び」が生じる

という“ねたみ → 相手の失敗でちょっと嬉しい”流れが、
神経レベルでも確認されています。

2. ライバルチームがミスしたときの脳反応

別の研究では、
野球やサッカーのライバルチームファンを対象に、

  • 自分の応援チームが成功・失敗する場面
  • ライバルチームが成功・失敗する場面

を見せてfMRIで脳を測定しました。ウィキペディア+1

結果:

  • 自分のチームが成功 → 報酬系が活動(当然うれしい)
  • ライバルが失敗 → 同じように報酬系が活動(相手の不幸なのにうれしい)

という、「自分の得だけでなく、相手の損でも快感が出る」ことが示されました。

3. SNSのコメント欄に現れるシャーデンフロイデ

最近では、
SNS上のコメントを分析してシャーデンフロイデのパターンを分類する研究も出てきています。PMC+1

たとえば、

  • 自分や自分のグループが報われるように感じる「補償型」
  • 嫌いな相手・グループへの敵意から来る「嫌悪型」
  • 不正行為が裁かれてスカッとする「正義型」

など、いくつかのタイプに分けて、
炎上ポストのリプ欄や引用RTを分類すると、かなりの割合がシャーデンフロイデ的感情で説明できることが示されています。PMC+1

なぜシャーデンフロイデが起こるのか(原因・仕組み)

1. 社会的比較:「相手が下がると、自分が相対的に上がる」

人はつい、

  • 成績
  • 収入
  • フォロワー数
  • 見た目・人気

などを、周りの人と比べてしまいます(社会的比較理論)。EBSCO+1

自分より上に見える人が失敗すると、

「あの人も完璧じゃなかったんだ」
「自分との差がちょっと縮まった気がする」

と感じ、自尊心が一瞬回復することがあります。
特に、もともと自尊心が低い人ほど、
シャーデンフロイデを感じやすいという報告もあります。ウィキペディア+1

2. 正義感:「それは罰を受けて当然でしょ」が気持ちよさにつながる

  • いじめ加害者
  • ルールを何度も破っている人
  • 明らかに人を傷つけていたインフルエンサー

こうした相手が“しっぺ返し”を受けるとき、
そこには**「正義が回復された」と感じる喜び**も混ざります。

最近のオンライン実験では、

  • 「その人がどれだけ悪いことをしたと思うか(罰に値するか)」
  • 「どれくらい“ざまあ”と感じるか」

が、SNS上でその人をさらしたい・批判をシェアしたい気持ちを強く予測することが示されています。ScienceDirect+1

3. グループ対立:「敵チームが負けると気持ちいい」

シャーデンフロイデは、
**「自分のグループ vs 相手のグループ」**の対立が強いときに出やすくなります。PMC+1

  • 推しチーム vs ライバルチーム
  • 自分の属するコミュニティ vs “嫌いな界隈”
  • 国籍・政治・文化の違いなど

このとき、相手グループの不幸は、

「うちのチームの立場が上がった」

という**“集団としての快感”**も含んで感じられます。

4. 「あったかいのに、どこか冷たい」アンビバレントな感情

ある研究者は、シャーデンフロイデを

「どこか温かいけれど、同時に冷たくて、少し罪悪感も混じった不思議な感情」

と表現しています。magazine.emory.edu+1

  • 一瞬「やった」と感じる
  • そのあと「でも、ちょっと言い過ぎたかな」「喜ぶのは違うかも」とモヤモヤする

この**“温かい+冷たい”両方の顔**があるのが、シャーデンフロイデの特徴です。

5. SNSの仕様が「他人の不幸ウォッチ」を加速させる

SNSでは、

  • 炎上ポストがタイムライン上で何度も再生される
  • 「いいね」「リポスト」で“盛り上がり”が見える
  • 匿名や仮名で、きついコメントを書き込みやすい

といった環境が、シャーデンフロイデを増幅しやすいと指摘されています。Frontiers+2SAGE Journals+2

「ちょっとスカッとする」
→ 炎上ポストをシェアする
→ さらに叩く人が増える

というループが回りやすくなるわけです。

シャーデンフロイデのデメリット

1. オンラインいじめ・過剰な炎上に加担しやすくなる

  • 「相手が悪いんだから、叩かれて当然」
  • 「被害者の代わりに仕返ししているだけ」

と感じているときほど、
自分がどこまで攻撃に加担しているかの線引きが曖昧になりやすいです。

研究でも、
シャーデンフロイデや「罰を受けて当然だ」という感覚が強いほど、
オンラインで晒す・バカにする・厳しいコメントを書く意図が高まることが示されています。ScienceDirect+1

2. ネガティブ感情に依存しやすくなる

「ストレスが溜まると、誰かの炎上を見てスッキリする」
というパターンが続くと、

「人の失敗や不幸を見ることで、自分を保つ」

というあまり健康的でないストレス解消法が習慣化することがあります。

自尊心が低い人ほどシャーデンフロイデを感じやすい、という研究もあり、
それがさらに他人と自分を比べるクセを強める可能性も指摘されています。ウィキペディア+2EBSCO+2

3. 共感力が削られ、「人の失敗=エンタメ」になってしまう

シャーデンフロイデに慣れすぎると、

  • 誰かの謝罪動画
  • 事故動画・失敗動画
  • いじられキャラのしくじり

などを、すべて“おもしろコンテンツ”としてしか見られなくなる危険があります。

長期的には、

  • 「人の痛みを想像する力」が弱くなる
  • 「自分がやらかしたときも同じ目で見られる」世界を生み出してしまう

という、副作用も考えられます。PMC+1

シャーデンフロイデとの付き合い方(SNS時代の実践ヒント)

1. 「今、シャーデンフロイデ中だな」とラベリングする

まずは、

「あ、今ちょっと“他人の不幸でスッキリしている”状態だな」

名前をつけて自覚することがスタートです。magazine.emory.edu+1

名前がつくと、

  • 自分を責めすぎずに
  • でも、流されすぎずに

一歩引いた視点を持ちやすくなります。

2. 「これは正義感か、ただの反感か」を少しだけ見直す

炎上や不祥事を見たとき、

  • 「その行為自体が本当に危険・有害だから怒っているのか」
  • 「ただ、その人がもともと嫌いだからスカッとしているのか」

を一度切り分けてみると、
自分の中の“正義モード”が暴走しにくくなります。ScienceDirect+1

  • 明らかな犯罪・ハラスメント
  • 実害が出ているケース

などは、感情だけでなく制度(通報・ルール・法)で対処するべき領域です。

3. 「自分がやらかした側だったら」を3秒だけ想像する

炎上ポストや失敗動画を見たとき、

「もし、あの立場が自分や友だちだったら?」

3秒だけ想像してみると、
ノリで攻撃的なコメントを書くハードルがかなり上がります。PMC+1

それでも「危ない行為だ」「これは指摘したほうがいい」と感じるなら、
事実ベースで冷静に書く
もしくはプラットフォームへの通報などの仕組みを使うほうが建設的です。

4. 「フロイデンフロイデ」を意識してみる

最近、「他人の成功を一緒に喜ぶ気持ち」を
逆・シャーデンフロイデとして「フロイデンフロイデ(freudenfreude)」と呼ぶ提案も出ています。ウィキペディア+1

  • 友だちの合格・昇進・達成をちゃんと祝う
  • SNSで「がんばってる人」を見たとき、素直に称賛のリアクションを送る

こうした**「他人のいいこと」を一緒に味わう練習**は、
シャーデンフロイデとは逆方向に、
自分の心のクセを少しずつバランスさせてくれます。

5. SNS上では「見て終わる」選択肢を持つ

  • 炎上案件
  • 誰かのミス動画

を見ても、

  • 「あえて何も書かない」
  • ミュート・ブロックで距離を取る

という選択肢もあります。

「見てスッとするくらいまでは人間だし仕方ない。
でも、わざわざ石は投げない」

くらいのラインを自分なりに決めておくと、
心もタイムラインも、少し穏やかに保ちやすくなります

まとめ:他人の不幸に湧いた感情を「どう扱うか」がカギ

  • シャーデンフロイデは、
    他人の不幸や失敗を見て、ひそかに喜びやスッキリ感を覚える感情。ウィキペディア+1
  • 背景には、
    • 社会的比較と自尊心の回復
    • 正義が回復されたと感じる喜び
    • グループ間の対立
      などがあり、脳の報酬系の活動とも関わっている。EBSCO+3PubMed+3SciSpace+3
  • SNSでは、炎上ポストやオンライン・シェイミングを通じて
    シャーデンフロイデが可視化・増幅されやすく、
    「ざまあ感」+「罰を受けて当然だ」という感覚
    叩きや晒し行動の強い予測要因になっている。PMC+2ScienceDirect+2
  • デメリットとして、
    • オンラインいじめ・過剰な炎上に加担しやすくなる
    • ネガティブな快感に依存しやすくなる
    • 他人の失敗をエンタメとしてしか見られなくなる

といった点が挙げられる。PMC+2magazine.emory.edu+2

現実的な付き合い方としては、

  • 「今シャーデンフロイデだな」と自覚する
  • 正義感と反感を切り分けて考える
  • 自分がやらかした側だったら…を少し想像する
  • 他人の成功を一緒に喜ぶ「フロイデンフロイデ」も増やしていく

といった工夫で、
“黒い感情”とうまく距離を取りながら、心をあまり荒らさずに生きていくことができます。

Q&A:シャーデンフロイデについてのよくある質問

Q1. 他人の不幸を見て嬉しくなるのは、やっぱり性格が悪い証拠ですか?

A. 「即・性格悪い」と決めつける必要はありません。
研究では、シャーデンフロイデは多くの人に見られる普通の感情として扱われています。EBSCO+1

大事なのは、

  • その感情に気づいたあと、どう行動するか
  • 炎上に乗っかって攻撃するのか、静かに距離を取るのか

という“次の一手”です。


Q2. 嫉妬とシャーデンフロイデの関係は?

A. かなり近いところにあります。

脳研究では、

  • 嫉妬:他人の成功を見て苦しくなる
  • シャーデンフロイデ:その人が失敗したときに快感が出る

というセットの動きが報告されています。PubMed+1

「普段から強く嫉妬している相手ほど、コケたときにうれしくなりやすい」と考えるとイメージしやすいです。


Q3. シャーデンフロイデと、単なる“いじわる”やサディズムはどう違いますか?

A. シャーデンフロイデは、「他人の不幸を見て」感じる喜びで、
自分が直接ダメージを与える必要はありません。ウィキペディア+1

一方サディズムは、自分が積極的に相手を傷つけることで喜びを感じる点で、かなり別物です。

もちろん、シャーデンフロイデが強くて
「もっと見たい」「自分も石を投げたい」となっていくと、
そこからいじめや攻撃に足を踏み入れてしまう危険はあります。


Q4. SNSで炎上を見るのがやめられません。どうしたらいいですか?

A. いくつか現実的な対策としては、

  • 炎上ワードをミュートする
  • まとめ記事や“晒し系アカウント”をアンフォローする
  • 「これは正義感か、ただの暇つぶしの興奮か?」と一度問い直す
  • 代わりに「誰かの良いニュース」「推しの活躍」系のポストを見る時間を増やす

などがあります。SAGE Journals+1

「見るな!」と0か100で考えるより、
見る頻度と“石を投げる回数”を減らすところから調整していくほうが続きやすいです。

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