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- テスト前日に「明日マジ終わるわ〜」と言いながら夜更かししてゲーム
- 部活の大会前に、あえて練習をサボって「本気出してないから」と強がる
- レポート提出日前日まで放置して、「時間なかったし」と言い訳できる状態をつくる
こんなふうに、
「失敗したときの言い訳になるように、自分でハンデを作っておく」
行動を、とった覚えはありませんか。
心理学では、こうした
わざと自分に不利な条件をつくっておいて、
失敗したときに“自分の能力のせい”にしなくて済むようにする
自己防衛のテクニックを
「自己ハンディキャッピング(self-handicapping)」 と呼びます。
この記事では、若い世代をイメージして、
- 自己ハンディキャッピングとは何か
- 勉強・部活・恋愛などでの「あるある」
- 実験・研究で分かっていること
- なぜ若者ほどハマりやすいのか(原因・仕組み)
- デメリットと、やめる/弱めるための具体的なコツ
を整理していきます。
身近な具体例とエビデンスのポイントでコンパクトに整理します。
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自己ハンディキャッピングとは?(定義)
心理学では、自己ハンディキャッピングは
失敗したときに自分の能力が低いと思われるのを避けるために、
わざと自分にハンデ(障害)を作ったり主張したりする自己防衛戦略
と定義されています。
- 行動でハンデを作るパターン(行動的自己ハンディキャッピング)
- 重要なテスト前に勉強せず徹夜でゲーム
- 大会前にあえて練習量を減らす
- 前日にわざと遅くまで遊ぶ など
- 口でハンデを主張するパターン(言語的/主張的自己ハンディキャッピング)
- 「昨日あまり寝てなくてさ」
- 「体調悪いから本気出せないわ」
- 「最近やる気出ないんだよね」 など
どちらも、もし失敗しても
「本気出してないだけだから」
「体調悪かったし」
と 自尊心(自分への評価)を守れるようにする仕組み です。
ただし、その代わりに
成功するチャンスそのものを自分で潰している
という、かなりコスパの悪い防衛策でもあります。
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日常&若者の「自己ハンディキャッピング」あるある(3本)
1. 「テスト前日にだけ本気」をアピールする勉強あるある
- テスト1週間前
→「そろそろやらなきゃ」とは思うけど、なんとなくスマホ&動画 - 前日になって突然焦り、
→「ヤバい、全然やってないわ〜」とわざわざ周りに言う - 当日、結果が悪かったときは
→「まあ、前日にしかやってないしね」と自分をなぐさめる
これは、
本気で準備して落ちるのが怖いから、
あえて“ちゃんと準備しない自分”を作っておく
典型的な自己ハンディキャッピングです。
2. 部活・試合前の「昨日、全然練習してないんだよね」
- 大会や発表会の前日なのに、
あえて軽く流したり、早めに切り上げたりする - 当日の朝、友だちに 「昨日全然練習できなくてさ〜」
と言っておく
すると、結果が微妙でも
「本気でやってこれだから」ではなく
「練習してなかったから仕方ない」と思える
ようになります。
ただし、コーチや仲間からは
「自分でハンデ作ってない?」「本気度低くない?」
と見えるリスクもあります。
3. 告白やチャレンジの前に「どうせムリ」と自分を守っておく
- 好きな人に告白したいけど、振られるのが怖い
- 「まあ、どうせムリだろうし」とわざとネガティブな前提を口にする
- 挑戦自体も「本気です!」と言い切らず、
「まあダメ元で言ってみるだけ」と自分に言い聞かせる
これも、
成功への期待をわざと下げておくことで、
失敗したときのショックを軽くしようとする
タイプの自己ハンディキャッピングです。
チャレンジを避ける方向に働きやすいので、
恋愛や進路選択でチャンスを逃す原因にもなります。
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実験・研究で見る自己ハンディキャッピング
1. 元祖:ベルグラス&ジョーンズの実験(お酒とテスト)
自己ハンディキャッピングは、
1970年代にジョーンズ&ベルグラスが行った実験から有名になりました。
ざっくりいうと:
- 参加者に難しい知能テストをやってもらう
- かなり良い成績が出たように「見せかける」
- そのあとで
- 「次のテストの前に、集中力が上がる薬」
- 「集中力が下がる薬(実際にはビタミン剤など)」
のどちらかを、自分で選んでもらう
結果は、
「次も高得点を取れるか不安な人ほど、
わざと“集中力が下がる薬”を選ぶ傾向があった」
というものでした。
もし次のテストで失敗しても、
- 「薬のせいだ」と言い訳できる
- 「自分の本当の実力がバレた」感覚を避けられる
=まさに 自己ハンディキャッピング そのものです。
2. 「学業の自己ハンディキャッピング」と成績・不登校リスク
最近の研究では、
学業場面での自己ハンディキャッピング がかなり重要だと分かってきています。
- 自己ハンディキャッピングの傾向が強い生徒ほど、
成績が低く、学業成功が下がることが繰り返し報告されています。 - ある研究では、
自己ハンディキャッピングが 学業不振やドロップアウト(中退) にもつながりうると指摘されています。
また、2025年の研究では、
自己ハンディキャッピング行動が、
生徒の「学業に対する主観的な幸福感」を有意に下げる
ことも報告されています。
3. 最近の研究:なぜ人は「わざと自分を邪魔する」のか?
2025年のハーバード大学の紹介記事では、
「なぜ、どんなときに人は自己ハンディキャッピングを選ぶのか?」を扱った新しい研究が報告されています。
そこでは、
- 自己ハンディキャッピングは、
自分の能力に不安があるときほど選ばれやすい - ただし、周囲からは
責任感が低い・本気じゃない人として評価されやすい
といった、本人にとっても周りにとってもコスパが悪い戦略だとまとめられています。
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なぜ自己ハンディキャッピングが起こるのか
(原因・仕組み)
1. 自尊心(プライド)を守りたいから
自己ハンディキャッピングの理論では、
人は「能力が低い」と思われることを、かなり強く恐れる
とされます。
- 勉強してテストで点が悪い
→「頭が悪い」と思われる(と思ってしまう) - 本気で練習して負ける
→「センスがない」と感じる
これを避けるために、
- あえて準備しない
- あえてハンデを作る
ことで、
「本気出してないから、今回ダメでも“弱い自分”とは限らない」
という “逃げ道”を確保しようとするのです。
2. 先延ばし(プロクラステイネーション)とのセット技
多くの研究で、
- 自己ハンディキャッピング
- 先延ばし(プロクラステイネーション)
- 低い自己肯定感・テスト不安
などの間に強い関連が見つかっています。
ざっくり言うと、
自信がない → 不安 → 先延ばし → 自己ハンディキャップ完成
という 負のコンボ が起こりやすい、ということです。
3. 「本気で頑張る=自分をさらす」ことが怖い
10代〜20代の若い世代では特に、
- 「ガチで頑張ってる自分」を見せるのがダサく感じられたり
- 失敗したときに「努力したのにこの程度」と見られるのが怖かったり
する傾向があります。
この年代は、
自己評価がまだ安定しておらず、
「周りからどう見られるか」を強く気にしやすい
ことが、自己ハンディキャッピングの研究でも指摘されています。
その結果、
- 頑張って失敗するくらいなら
- ちょっと手を抜いて「本気じゃないし」と言っておきたい
という方向に心が動きやすくなります。
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自己ハンディキャッピングのデメリット
(日常&若者向け)
1. 実力が伸びるチャンスを自分で潰してしまう
当たり前ですが、
- 勉強しない
- 練習しない
- 本気で取り組まない
状態が続くと、
シンプルに実力が伸びません。
「本気出せばできるはず」という妄想だけが育ち、
現実の力とのギャップがどんどん広がっていきます。
2. 成績・評価・将来の選択肢が狭くなる
学業の研究では、
- 自己ハンディキャッピングが強い生徒ほど、
成績が低く、学業的な成功感も低い - 長期的には、
進学・就職などの選択肢が狭くなる
という結果が複数出ています。
部活や趣味でも、
- 本気でやれば通ったかもしれないオーディション
- もう少し頑張れば届いたかもしれないレベル
を、自分で壊してしまうことになります。
3. 不安・燃え尽き・自己嫌悪が増える
一見「自尊心を守る」ための戦略ですが、
長期的には逆効果になることも分かってきています。
- 自己ハンディキャッピングが強い学生ほど、
不安やストレス、バーンアウト(燃え尽き)と関連するという報告。 - 「どうせ本気出してないし」と言い訳しながらも、
心のどこかで 「また逃げたな…」 と自己嫌悪に陥りやすい
自分を守るつもりが、
長期的には自分への信頼を削っていく
——それが自己ハンディキャッピングの怖いところです。
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自己ハンディキャッピングと付き合うコツ
(若者・学生向け)
1. まずは「名前を知っておく」だけでも価値がある
一番のスタートは、
「あ、今“自己ハンディキャップ発動中”だな」
とラベルを貼れるようになることです。
- テスト前に、スマホでだらだらしている自分を見つけたら
→「これは先延ばし+自己ハンディキャッピングセットだ」と気づく - 「昨日寝てないんだよね〜」と言いたくなったら
→「それ、ハンデ作ろうとしてない?」と一瞬間を置く
“名前がつく”だけで、
その行動を少し冷静に見られるようになります。
2. 「本気でやっても失敗していい」と決めておく
自己ハンディキャッピングの根っこには、
「本気でやって失敗したら、終わりだ」
という極端なイメージがあります。
ここをやわらげるために、
- 「本気でやっても失敗していい」
- 「失敗=能力ゼロの証拠じゃなくて、“今の地点”のデータ」
と、あらかじめ自分に許可を出しておくのが大事です。
最近の研究では、
**「成長マインドセット(能力は努力や工夫で変わる)を促す介入」**が、
学生の行動的自己ハンディキャッピングを減らしたという報告もあります。
3. 「言い訳」を先に書き出して、行動に変換する
よく出てくる自分の言い訳を、
ノートやメモに書き出してみます。
- 「眠いから集中できない」
- 「やる気出ない」
- 「どうせ点取れない」
それぞれに対して、
- 「じゃあ15分だけやる」
- 「5分タイマーかけて、やる気がなくても手だけ動かす」
- 「点は取れなくてもいいから、今回は“覚え方の実験”としてやる」
といった 小さな行動バージョン をくっつけてみます。
言い訳だけで終わらせず、「その条件でもできる一歩」に変換する
これだけでも、自己ハンディキャップの威力はかなり弱まります。
4. 問題解決スキル・自己決定感を高める
いくつかの介入研究では、
- 問題解決スキルのトレーニング
→ 学生の自己ハンディキャッピングが、1ヶ月後に有意に下がった - 自己決定スキルのトレーニング
→ 自己ハンディキャッピングと学業の先延ばしを同時に減らした
という結果が報告されています。
若者向けに言い換えると、
- 「何が問題なのか」「どんな選択肢があるか」を整理する練習
- 「自分で決める」経験を増やすこと
が、自己ハンディキャッピングを減らす方向に効く、ということです。
5. 信頼できる人に「逃げたくなる気持ちごと」話す
自己ハンディキャッピングは、
一人で抱えているとどんどんクセになりやすいです。
- 友達
- 先輩
- 家族
- 先生・カウンセラー
誰か一人でもいいので、
「本気出してダメだったら怖くてさ」
「わざとギリギリまでやらない自分がいる」
と、気持ちごと話してみると、
「それ、あるあるだよ」と返ってくることも多いはずです。
「自分だけじゃない」と知れること自体が、
自己防衛としての自己ハンディキャップに頼らなくて済む土台になります。
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まとめ:「本気出してないから」の裏側をちゃんと見る
- 自己ハンディキャッピングとは、
失敗したときに自分の能力の低さがバレないように、
わざとハンデを作ったり主張したりする自己防衛戦略。 - テスト前の先延ばしや、
「昨日寝てない」「あまり練習してない」といった発言は、
若者の日常でよく見られる自己ハンディキャッピングの形。 - 研究では、
- 成績・学業の幸福感・進学のチャンスを下げる
- 不安や燃え尽きとも関連する
など、長期的にはかなり損の大きい戦略だと分かっている。
- 一方で、
- 「今、自己ハンディキャップ発動中だ」と気づく
- 「本気でやって失敗してもいい」と許可を出す
- 言い訳を小さな行動に変換する
- 問題解決・自己決定スキルを鍛える
といった工夫で、少しずつ手放していくことができます。
「本気出してないから」の一言で自分を守るのか、
「本気出してみて、その結果を材料にする」のか。
その選び方が、
数年後の自分の選択肢や、自分への信頼感をじわじわ分けていきます。
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Q&A:自己ハンディキャッピングについてのよくある質問
Q1. 自己ハンディキャッピングと「ただのサボり」は何が違いますか?
A. 「目的」が違います。
- ただのサボり
→ 楽したい・面倒だからやらない - 自己ハンディキャッピング
→ 失敗したときの言い訳を作るために、
わざと自分にハンデを作る
「うまくいかなかったときに、“能力の問題にされる”のが怖いかどうか」が、
見分けポイントになります。
Q2. 少しぐらい自己ハンディキャッピングしてもいいですか?
A. たまにやってしまう程度なら、人間として普通です。
問題なのは、
- いつも本気を出す前に逃げてしまう
- そのせいで、成績や将来の選択肢に影響が出ている
レベルになっているかどうかです。
自分で「さすがにこれはマズいな」と感じたら、
この記事の対策をどれか一つだけでも試してみる価値があります。
Q3. 自己ハンディキャッピングをやめようとすると、逆に怖くなります…
A. それはむしろ「ちゃんと向き合えている証拠」です。
- ハンデを外す
→ 失敗したとき、言い訳が減る - 言い訳が減る
→ 「今の実力」や「やり方のまずさ」が見えやすくなる
ので、最初は怖く感じて当然です。
いきなり全部やめるのではなく、
- 1教科だけ本気でやってみる
- 1試合だけ、「練習量で言い訳しない」と決めてみる
くらいの ミニ実験 から始めるのがおすすめです。
Q4. 親や先生に「自己ハンディキャッピングしてる」と言われるとムカつきます…
A. ラベルを貼られると、誰でもイラッとします。
もし周りからそう言われたときは、
- まずは「図星な部分がどれくらいあるか」を、
自分の中だけで静かにチェックする - 図星だとしても、「じゃあどうしたらいいか」を一緒に考えてくれる人かどうかを見る
のが現実的です。
自己ハンディキャッピングを責めるだけでなく、
「じゃあどうやって本気を出しやすくするか」を一緒に考えてくれる大人は、
味方になりやすい存在です。
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