均衡理論(バランス理論)とは?「あの子を好きなあの人も好き」になる心の仕組み

  • 親友が自分の大嫌いなアイドルを「超好き!」と言い出してモヤっとする
  • 好きな人が推しているアーティストを、いつの間にか自分も好きになっている
  • 仲良い友だちが嫌っている人を、自分もなんとなく苦手になっていく

こういう

「人間関係と好き/嫌いの組み合わせで、心がザワザワして、
どこかでバランスを取りに行こうとする感じ」

を説明するのが、社会心理学でいう
「均衡理論(バランス理論 / balance theory)」 です。ウィキペディア+2Public Words+2

この記事では日常や恋愛寄りで、

  • 均衡理論とは何か(P-O-Xの基本)
  • 日常での「あるある」パターン
  • 代表的な実験・研究のイメージ
  • なぜ私たちは“バランスが崩れると落ち着かない”のか
  • デメリットと、日常での上手な使い方

を整理していきます。
身近な具体例とエビデンスのポイントでコンパクトに整理します。

目次

均衡理論(バランス理論)とは?(定義)

**均衡理論(バランス理論)**は、
心理学者フリッツ・ハイダー(Heider)が提唱した、対人関係の理論です。ウィキペディア+1

登場人物(&モノ)は3つ:

  • P(Person)=自分
  • O(Other)=相手(友人・恋人・第三者)
  • X(Object)=対象(人・モノ・趣味・考え方など)

この3つの関係について、

  • 好き・ポジティブ →
  • 嫌い・ネガティブ →

という「+/−」をつけて考えます。ウィキペディア+2Public Words+2

そして

P-O-X の3つの符号を掛け算して「+」になる状態=バランスが取れていて心地よい
掛け算して「−」になる状態=どこかモヤモヤして不均衡で、何とか直したくなる

とするのが、均衡理論の基本です。Facebook+3ResearchGate+3e-edu.nbu.bg+3

例:

  • 自分はAさんが好き(+)
  • 自分はそのアニメが好き(+)
  • Aさんもそのアニメが好き(+)

→ +×+×+=+ = バランスしていて心地よい

一方、

  • 自分はAさんが好き(+)
  • 自分はそのアニメが好き(+)
  • Aさんはそのアニメが嫌い(−)

→ +×+×−=− = どこかモヤモヤ、不均衡

この「不均衡」のときに、
人はどこかを変えて 「心のバランス」を取りに行く と考えるわけです。ResearchGate+2Facebook+2

日常の「均衡理論」あるある(3本)

1. 「好きな人が好きなもの」を自分も好きになりがち

  • 自分(P)は気になる人(O)が好き(+)
  • その人(O)は、あるアーティスト(X)が好き(+)
  • 自分(P)は、そのアーティスト(X)を特に何とも思っていない(0〜±グレー)

このとき、

「ちょっと聴いてみようかな」
「実は結構いい曲多いな…」

と、自分も好き側に寄っていきやすいです。

均衡理論で見ると、

  • P → O(好き:+)
  • O → X(好き:+)
  • P → X(よく分からない → そのうち+へ)

となり、最終的には +×+×+=+ の「バランス状態」に向かいやすい、というイメージです。YouTube+2Facebook+2


2. 「親友が嫌う人」を自分もなんとなく苦手になる

  • 自分(P)は親友(O)が大好き(+)
  • 親友(O)はクラスメイト(X)が嫌い(−)
  • 自分(P)はそのクラスメイト(X)に対して、中立〜普通(0)

しばらくすると、

「あの人、ちょっと苦手かも」
「あの子が嫌いって言うから、あんまり仲良くしづらい…」

と、自分も“嫌い”側に寄っていきやすくなります。

  • P → O:+
  • O → X:−
  • P → X:?? → −

→ +×−×−=+(最終的にバランス)という流れですね。Facebook+1


3. 「嫌いな上司」を好きな同僚と、どこかギクシャクする

  • 自分(P)は上司(X)が苦手(−)
  • 自分(P)は同僚(O)は好き(+)
  • でも同僚(O)は、その上司(X)のことが好き(+)

すると、

「あの人のどこがそんなにいいの?」
「上司の味方をされてる気がして、ちょっと複雑…」

というモヤモヤが生まれがちです。

  • P → O:+
  • P → X:−
  • O → X:+

→ +×−×+=− なので、不均衡な状態

このままだと落ち着かないので、

  • 「まぁ上司にも良いところあるか」と、少し評価を上方修正する
  • 逆に、同僚を少し距離を置いて見る
  • 上司の話題を避ける(Xとの関係性を薄める)

など、どこかを変えて「+」に戻そうとすると考えられます。ウィキペディア+2Public Words+2

実験で見る均衡理論(イメージ)

ハイダーは、対人関係を「感情の符号+/−」で整理して、
「3つの関係の積が+ならバランス、−ならアンバランス」 というルールを提案しました。Facebook+3ResearchGate+3e-edu.nbu.bg+3

その後の研究では、例えば:

  • 「PがOを好き」「OがXを好き」なのに
    「PはXを嫌い」という不均衡な設定
    を見せると、
    参加者は
    • 「PはそのうちXを好きになるだろう」
    • または「PはOのことをそこまで好きではないのかも」
      など、どこかが変化してバランスを取りに来ると予測する傾向がある。Public Words+2Facebook+2
  • 三者関係(トライアド)がアンバランスなとき、
    人は「不快・緊張」を感じ、
    どこかの態度を変えてバランス状態に向かうという仮説は、
    後の研究でも一定程度支持されている。grahamfeest.com+2e-edu.nbu.bg+2

また、バランス理論は

  • 「敵の敵は味方」
  • 「推しが推してる人を自分も推したくなる」

といった現象の説明にも使われ、
恋愛やマーケティング、SNSでの「同じものを好きな人同士の結束」などに応用されています。ResearchGate+2YouTube+2

なぜ「バランスが崩れる」と落ち着かないのか(原因・仕組み)

1. 心は「一貫性」が好き

均衡理論は、**「認知的一貫性」**という考え方の一つです。ResearchGate+2businessballs.com+2

  • 「好きな人」と「好きなもの」がつながっている
  • 「嫌いな人」と「嫌いなもの」がセットになっている

こういう シンプルな図 の方が、脳にとって処理しやすい状態です。

逆に、

  • 好きな人が嫌いなものを好き
  • 嫌いな人が大好きな趣味を持っている

など、感情の矢印が複雑に交差すると、
頭の中の“図”がごちゃっとしている感覚になり、
どこかモヤモヤ・イライラしやすくなります。


2. グループの中で「立場」をはっきりさせたい

バランス理論は、
グループの中での「味方・敵」構造を説明するのにも使われます。speakingaboutpresenting.com+3ResearchGate+3businessballs.com+3

  • Aと自分は仲良い
  • Bと自分は微妙
  • AはBのことが大嫌い

みたいなとき、

「自分はどっち側なんだろう?」

と、立場があいまいな状態が続くのはストレスです。

そこで心は、

  • Aに合わせてBを嫌い側に寄せる
  • 逆にBと仲良くなることで、Aから距離をとる

など、グループ内の関係をスッキリさせる方向に動きやすくなります。


3. 「敵の敵は味方」が生まれやすい

均衡理論の典型例が、

「あいつが嫌いな人は、自分の味方に見える」

という現象です。ResearchGate+1

  • 自分はXさんが嫌い(−)
  • 自分はYさんのことはよく知らない(0)
  • でもYさんもXさんを嫌っている(−)

すると、

  • P → X:−
  • P → Y:??
  • Y → X:−

→ 「??」を +にすると +×−×−=+ でバランスする ので、
心が 「Yさん、ちょっと頼もしい味方かも?」 と感じやすくなる、というわけです。

「均衡理論」がもたらすデメリット(日常の落とし穴)

1. 「友だちが嫌いだから」というだけで、人を嫌いになりやすい

  • 実際にはよく知らない相手でも、
  • 親しい人が「アイツ嫌い」と言っているだけで、
    自分も「なんとなく苦手」と感じてしまう

これが積み重なると、

「周りの評価に流されて、人をちゃんと見なくなる」

という問題が生まれます。Facebook+2YouTube+2


2. 「推し」が叩かれると、冷静さを失いやすい

  • 自分の推し(X)が大好き(+)
  • 仲間(O)も推しが大好き(+)
  • アンチ(別のO)が推しを嫌っている(−)

この構図でアンチの意見を見ると、

「推しを嫌う人=自分の敵」

と感じやすく、SNSでの炎上・攻撃につながることもあります。ResearchGate+2businessballs.com+2

「好き/嫌いのバランスを守ろう」という心の動きが、
対立を強める方向に働くこともある
という点は要注意です。


3. 恋愛で「相手と同じものを好きになりすぎて」自分が分からなくなる

  • 相手が好きなものを全部好きになろうとする
  • 相手が嫌っているものを、自分も避けようとする

これをやりすぎると、

「自分は何が好きで何が嫌いなのか」が分からなくなってくる

という、自己喪失ぎみの状態になる危険があります。

均衡理論と上手く付き合うコツ(日常版)

1. 「P-O-Xの三角形」を頭の中で一回描いてみる

人間関係でもやっとしたら、一度こう整理してみます。

  • P(自分)
  • O(相手)
  • X(対象:人でも物でもOK)

それぞれに、

  • 好き → +
  • 嫌い → −
  • どちらでもない → 0(とりあえず保留)

をつけてみて、

「どこがマイナスで引っかかっているのか?」

を目で見るイメージです。ウィキペディア+2Public Words+2

「バランスを取るために、自分はどこを変えたくなっているのか」が見えやすくなります。


2. 「誰かに合わせて嫌っていないか?」を一度疑う

特に、

  • 「親友が嫌っている人」
  • 「グループで叩かれている人」

に対して自分もネガティブになっているときは、

「自分はその人を、ちゃんと自分の目で見たことがあるか?」

を一度チェックしてみるのがおすすめです。Facebook+2YouTube+2

  • 実際に話してみる
  • 一緒に何か作業してみる

という「直接のXとの関係」を増やすことで、
他人の評価だけで嫌うクセを弱められます。


3. 恋愛では「全部合わせなくていい」と決めておく

好きな人との関係では、

  • 好きなものが重なっていると、たしかに仲は深まりやすい
  • でも、全部合わせようとするとしんどくなる

ので、

  • 「3割くらいは相手に合わせる」
  • 「残り7割は、自分の好みもちゃんと持つ」

くらいのバランスが現実的です。

均衡理論的には、
全部のP-O-Xを完全に+にする必要はなく
多少の不均衡があっても人間関係は続きます。YouTube+2Facebook+2


4. 「敵の敵は味方」モードに入りすぎない

  • 共通の“嫌いなもの”でつながると、
    一時的には仲間意識が生まれますが、
  • その関係は、
    何か別のテーマになった瞬間に簡単に壊れやすいです。

「誰かを一緒に嫌うことで仲良くなる」だけに頼らず、

  • 一緒に楽しいことをする
  • 好きなもの・大事にしている価値観を共有する

など、ポジティブなP-O-X(三角)も増やしていくと、
人間関係が安定します。ResearchGate+2businessballs.com+2

まとめ:「誰を通して誰を見ているか」を意識してみる

  • **均衡理論(バランス理論)**は、
    自分(P)・相手(O)・対象(X)の3つの関係が
    プラスとマイナスの組み合わせで「バランス」を取ろうとする心理を説明する理論。ウィキペディア+2Public Words+2
  • +×+×+や、+×−×−のように掛け算して「+」になる状態は心地よく、
    +×+×−など「−」になる状態はモヤモヤしやすい。ResearchGate+2e-edu.nbu.bg+2
  • 日常では、
    • 好きな人が好きなものを自分も好きになりやすい
    • 親友が嫌う人を、自分も嫌いになりやすい
    • 敵の敵を味方として見やすい
      といった形で現れ、恋愛や友人関係・職場の人間関係に影響している。ResearchGate+3YouTube+3Facebook+3
  • 一方で、
    **「周囲に合わせて人を嫌う」「推しを軸に敵・味方を作りすぎる」**と、
    自分の目で人を見られなくなるデメリットもある。YouTube+2Facebook+2

だからこそ、

「自分(P)」「相手(O)」「対象(X)」の三角形で、
どこを誰の影響で動かそうとしているのか?

を少し意識しておくと、
恋愛でも友人関係でも、もう一歩落ち着いて選べる自分に近づきます。

Q&A:均衡理論についてのよくある質問

Q1. 均衡理論と「認知的不協和」は何が違いますか?

A. ざっくりいうと、扱う“図形”が違います。

  • 「均衡理論」
    → 自分・他者・対象の 三角形(P-O-X) のバランスを見る理論
  • 「認知的不協和」
    → 自分の考え・態度・行動の ズレ全般 を扱う理論

どちらも「モヤモヤした不一致を減らしたい」という意味で
認知的一貫性の仲間ですが、
均衡理論は「対人関係の三角関係」に特化しているイメージです。ResearchGate+2Toolshero+2


Q2. みんなが嫌っている人を、自分だけ好きでもいいですか?

A. もちろんOKです。

ただし、そのとき

  • グループの均衡は崩れるので、
    周りから「なんであの人と仲いいの?」と言われるかもしれません。

そのうえで、

  • 「自分はこういうところが好き」
  • 「確かにこの点は問題だけど、ここは評価してる」

と、自分なりの理由を持っておくと、
**群れの空気に流されない“自分のバランス”**を保ちやすくなります。Facebook+2YouTube+2


Q3. 恋愛で均衡理論をうまく使うコツは?

A. 以下の3つだけ意識しておくと実用的です。

  1. 共通の「好き(+)」を増やす
    • 趣味・音楽・価値観などを少しずつ共有して、
      P-O-Xの「+」パターンを増やす。Facebook+1
  2. 相手の“嫌い”に全部合わせない
    • 相手が嫌う人・ものについて、
      自分まで自動的に嫌わない。
  3. 「敵の敵は味方」だけでくっつかない
    • 共通の“嫌い”でだけ盛り上がる関係は、
      別のテーマになると崩れやすいので、
      共通の「好き」も意識して増やす。ResearchGate+2Facebook+2

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